ビジネス・アクセラレーション部 取締役遠藤 倫生

社内の雰囲気やClipLineについてリアルに知ってもらうために、ClipLine株式会社で働く皆さんのインタビューをお届けしていくこのシリーズ。今回は、創業メンバーのひとりで、取締役の遠藤さんにインタビューしてきました。  

これまでのこと、ClipLine株式会社について

ーClipLine株式会社に入る前は、何をされていたか、教えてください。

写真家であり映像の企業の代表として、各種の媒体、取材などをしていました。
「面白いかどうか」、「新しい分野かどうか」という基準で仕事をしていたので、だいたいどこにでも撮りに行ってましたね。


―どのような経緯で写真や映像の道に入ったのでしょうか?

大学が慶應義塾の総合政策学部で、数量経済史と人口学を学びました。
その後三田の大学院を中退するまで、人類の「生きざま」をグラフィック化する、という研究をしていたんです。経済行動、政治行動をマッピングしたり、挙句の果てには日本人のメンタリティ(心性)を数量化してグラフィックにする、という試みを始めました。
教授に、「これ超すごいね、7年くらい続ければ成果が出るよ!」と励まされたのが、大学院を辞めたきっかけです。
研究は面白かったけど、7年もやろうとは思わなかった。それからは、高校の教師をちょっとやった後、先述の写真企業を作るまでいくつか職歴はありますが、基本的には、媒体制作 x 教育という二つの分野をまたいで仕事をしてきました。


―なぜ創業に参加しようと思ったんですか?

媒体の分野で多少の実績を積み、海外のコンペで勝ったり、東京の街なかに自分の仕事の成果が増えてくるにつれて、ブレイクスルーを望むようになりました。
当時、自分の中で育て始めたアイディアは3つ。

1)プロのグラフィック技術を動員して、いまだグラフィック化がなされざる大きな面を取りに行く
2)Democratization of Imaging(映像制作の民主化)
3)上記2つの帰結としての、映像版・百科全書プロジェクト

日本の写真業界・映像業界って、単価がどんどん下がる一方、イノベーターがぜんぜん出てこないんです。
映像業者って、媒体や代理店からの受託案件と、toCでライフイベントを撮ることに甘んじる傾向がある。

だから
1)はちょっと頑張れば楽勝。 2)については、時期を見計らう必要がありました。
歴史的に、技術革新と生産手段の民主化との間にはつねにタイムラグがあります。
たとえばちょっと古い話ですが、1888年にKodak社が“You press the button, we do the rest.(あなたはカメラのボタンを押すだけで写真が撮れる。あとはコダックが現像します)”と言うことができたのは、写真の発明から半世紀後のことだったし、日本で「写ルンです」が普及するまでに、そこからさらに半世紀以上もかかったのです。
昨今、映像制作のデジタル化が急激に進んでいるように見えて、イメージングの周辺環境を含めて、しかるべき時にイノベーションを起こすことができるのか、という問題を考えていました。

3)について。
学生時代によくミシェル・フーコーを読んでいたので、イメージングを仕事にするならば、生産手段の民主化の問題や、全展望システム(パノプティコン)の問題と向き合いながら、いずれは巨大な「知」を設計する側のことも考えなきゃ、と思っていましたが、InstagramやGoProが普及して、シンボル交換の様式はどんどん非言語のほうに寄ってきました。
こういうと分かりづらいでしょうけど、たとえばGoProの公式編集アプリでは、文字を入れることがあえて出来ないように設計されています。
一人称の映像表現では、非言語のシンボルが重要なのだということは、たとえばFPSのゲームに親しんできた方には分かって頂けるのではないでしょうか。  
2013年頃、こういったアイディアをCEOの高橋と議論したとき、完全にかみ合ったわけですよ。
映像業の仲間は全く理解してくれなかったので、非常に嬉しかったし、リスクを取ってとことんやろう、と思いましたね。
それがClipLine株式会社の前身であるジェネックスソリューションズ創業に加わった理由の一つです。  
若い方、とくに媒体やデザインを仕事にしたい人は、フーコーを読んでもいいのですが、キットラーの『グラモフォン・フィルム・タイプライター』を読んでから就職(転職)しましょう。
これは非常に読みやすい本です。
マーク・ポスターの『情報様式論』の第3章「フーコーとデータベース」も、いま読むと面白いですよ。
YoutubeやCチャンネルなどで起きている情報交換のあり方は、1980年代に書かれた批評が予見していたことなんです。

ClipLineのこれから

―ありがとうございます。そのような視点で見たときに、遠藤さんにとって、「動画」をサービスの核とするClipLineはどのような位置づけになるんでしょうか?

ClipLineの情報空間においては、クライアントが組織の中で動画による情報交換をし、かつ民主的な仕組みを用いて集合知の蓄積ができます。
30年前のポスト構造主義の論客が予言した未来のコミュニケーションが、いまようやく(ClipLineによって)実現しつつある、というと手前味噌かもしれませんが、一種の発明であることは間違いないです。
ただし、発明(invention)を数年以内に普及品(diffusion)にするためには、相応の労力、頭脳、経験の裏付けが必要。
われわれと同じような発明を普及品にしようと試みているのは、いま北米のたった1社か2社しかいないのです。


―なるほど。ClipLineはこれからどのようなサービスになっていくんでしょうか?

内緒ですが、驚きの展開が待っています!