コンテンツ・コミュニケーション部 早坂 彩

これまでのこと

ー今日はClipLineコンテンツ・コミュニケーション部で活躍している早坂さんのインタビューです。前職のことから聞きましょうか。ClipLineの前は、どんなお仕事をしていましたか?

大学院を卒業して、映像制作会社に就職しました。主にEテレの某工作番組と某実験番組を担当していました。あとは、アイドルのPVやバラエティ、車の衝突実験、製品のPV、映画のスポットなどをちょこちょこと。
このなかでも、科学番組がなかなかインパクトのある番組で、科学原理をひたすらスケールの大きくして試してみるという番組でして。いろいろな場所でロケして、実験していました。


ー例えば、どんな実験をしていたんですか?

「空気でダンベルを飛ばす」とか「トラックでやじろべえする」とか。


ーハードボイルドだね!

気合いと根性があれば、ダンベルも飛ぶんだなって。で、ダンベル飛ばしてました。
まったく白紙の状態から、どんな科学原理を扱うか決め、その原理をどう楽しく大きく見せるかを考えます。いかに描くかは、ほんとうにディレクターの頭脳次第で。夢みたいな、ほんとうにそんなことできるの?というようなアイディアをどうしたら実現できるか、試行錯誤の日々でした。
実際に手を動かして実験したり、実験器具をリサーチして発注したりしていました。
番組のキャッチフレーズが「やってみなくちゃわからない」だったんですが、実験番組という特性もあって、実験がどう転ぶかは撮影当日にならないとわからないんですね。一応、絵コンテや香盤はあるわけなんですが、実験の状況にあわせてその場で撮影予定も変化していく。番組のうまみとしては、実験をしている私たちのドキュメンタリー的な要素もあって・・・気合いと根性の日々でした。


ーテレビならではだと思ったことはありますか?

1年間に10本以上の実験が走っていたのですが、様々なディレクターの腕で、ある意味力技で番組が作られていっていました。普段は、4.5人を中心に、プロジェクトルームで準備していたのですが、撮影に50人前後集まるのもザラなことで。プロの現場に身を置きながら、番組制作には多くの人の本気が詰まっているなあ、と感じて過ごしていましたね。
あとは「かっこいい映像を撮る」ということに、すさまじい情熱を傾けていた会社だったので、画への感性は、非常に研ぎ澄まされたと思います。
また、Eテレという公共放送で番組に携わって、尖りつつも、世間に受け入れられるにはどんな表現ができるのか、学ぶことができました。

演劇人として

ーもともと、演劇をやってらしたんですよね?

そうですね。前段に述べた映像制作会社にいた期間を除くと、大学に入学してからは、一年中、ほとんど稽古場か劇場にいるのじゃないかというくらい、演劇人らしい生活をしていました。


ーどんなことをしていたんですか?

演出家になりたかったので、企画を立てるところからスタートして、出演者・スタッフを集めて作品を演出していました。ミュージカルフェスティバルに呼んでもらって、演出・脚本・作詞をしたこともあったし、富山県の大自然のなかで演劇コンクールにでたこともありました。
あとは、演出助手としてもお仕事をしていて、スウェーデン人の演出家との共同制作についたり、新国立劇場の演劇研修所公演のお仕事をしたりしていました。


ー大学院の専攻も演劇だったとか?

大学・大学院では、演劇映像学科で現代西洋演劇を研究し、「現代ドキュメンタリー演劇論」という題目で修士論文を書きました。

ClipLineへの転職

ーガチ演劇人として教育番組を作っていた早坂さんが、ClipLineのようなIT企業に転職したのはなぜ?

そこはやっぱり疑問に思われるところですよね。芸術というのは、社会と繋がってこその芸術だと思っていて。ちょうどClipLineに入社する前後の時期、中高生向けに演劇のWSをする機会があったり、演劇以外の媒体で脚本を書く機会があったりして、演劇で培ってきた経験を生かして、より広がりがある活動ができてきた時期でもありました。自分が持てるスキルを、演劇以外の媒体で活かす可能性があるんじゃないかと思えたタイミングだったのかもしれません。

逆に演劇でいうと、自分が目指してきた現場にどんどん行けるようになってきた時期ではあったのですが、10年後の未来とか人生とか、創作と生活のバランスを考えはじめた時期でもありましたね。

わたし自身、とあるコーヒーチェーンで長くトレーナーをしてきたのですが、ここ数年の、他店舗経営のチェーン店を取り巻く環境の変化を肌で感じていました。固有の「人」に依存しすぎた教育システムに固執するのは、いまの時代にふさわしくないのかもしれません。人の入れ替わりの早いチェーン店に、より豊かな学習環境が提供できたら、そのために、この演劇人として培ったスキルが生かせたらという思いはありました。


ーIT企業とは縁遠い業界から転職したように思いましたが、今納得しました。あらゆるコンテンツは、何らかの形で演出されているわけですから、早坂さんのキャリアには一本、筋が通っていることがわかりました。

演出の仕事とは、どういう仕事か、よく聞かれますが、私は上演に関わるすべてのことを「direct=指し示す」仕事だと思っています。劇場で起こっていること全てには理由があって、演出家はその全ての理由が説明できないといけない。例えば、「舞台で俳優が持っている小道具の竹槍が、どうしてその長さか?」と聞かれたら演出家は答えられて当然なんです。

これからのキャリア

ーこれからのキャリアで、何を作ってゆきたいですか?

仕事として取り組んでいると、企画力や企画推進力を評価されることが多いんですね。「企画を立てる」「企画を進める」うえで大切なことは、「これを伝えたい!」という核心を掴むことだと思うんです。核心を掴んで、イメージが描ければ、あとはそれを形にしていく作業を進めればいい。

ClipLineの仕事では、クライアントの「ブランド」が描く顧客ストーリーだけではく、従業員のストーリーも読み取ることが必要です。表層的なニーズ=ご要望の核はなんなのか、それをストーリーとしてどうコンテンツの形に落とし込むか、という形式化が仕事の中核です。

核心を掴んで、媒体を問わずよりよいコンテンツを作り続けること、また、大きなビジョンとしては、多くの人がそれを享受できる場作りをすることを目指していけたらと思います。

プライベートな思いとしては、自分なりの「これを伝えたい!」という核心を作品に昇華できたらと思います。いままで、ハイペースに作品作りをしてきましたが、自分の人生のペースにあわせて、コツコツと。演劇なのか、文章なのか、はたまた映像なのか、作るという意味ではあまり媒体にこだわりはないです。

先日、地域に根ざしたアートプロジェクトの一貫で、紙芝居の脚本を書きました。実際に親子で見てもらう機会があったのですが、このように少しでも豊かな時間作り、よいコミュニケーションの場作りを推進できるような、作品作りをしていきたいですね。